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教員のリアルを知る

STORY 05 養護教諭

友永 麻耶

都立六本木高等学校
養護教諭(平成31年度採用)
※取材時は、都立葛西南高等学校

医師やカウンセラーではなく、 養護教諭だからこそできることを。

医師やカウンセラーではなく、 養護教諭だからこそできることを。

幼い頃から憧れていた
母のような養護教諭に

 母が養護教諭をしており、幼い頃から養護教諭の仕事は身近な存在でした。実際に母が働いている姿を目にする機会はありませんでしたが、近所のスーパーなどで生徒や保護者と会った際に話している様子を見て、漠然とした憧れを抱いていたのです。その想いは、教育実習を機により強まっていきました。保健の授業を真面目に聞いてくれる生徒の様子や、保健室にまで訪ねてきて近況を報告してくれたり、悩みを相談をしてくれたりする生徒たちに触れるうちに、この仕事を通して生徒の成長を支えたいと思うようになっていきました。
 養護教諭を目指すと決めた後に悩んだのが、どこで就職するかでした。私は山口県出身だったため、地元に戻るか東京で養護教諭になるか決めあぐねていました。最終的に東京に決めた理由は、貢献度の高さ。日本の首都である東京で生徒たちの健やかな生活を支えることは、今後の日本の発展にもつながると考えたのです。今も変わることなく、その想いを抱きながら日々業務にあたっています。

校内で一番話しやすい存在でありたい

 生徒たちの健康を守る意味では、養護教諭だけでなく医師や心理カウンセラーの方も含め、他にも多くの方が見守ってくれています。だから、養護教諭ならではの貢献ができるよう日々意識しています。特に大事だと思うのが、気軽に相談できる存在であること。病院にかかったり、心理カウンセラーに直接相談したりするのは、生徒にとって少しハードルが高い部分もあると思います。そこまでするほどではなくても、保健室に行ってちょっと相談してみようかなとは思える。保健室がそんな場所であったらいいなと思っています。
 そのために大切なのが、生徒との丁寧な関係性づくり。朝は昇降口に立ってみんなに挨拶の声かけをして積極的にコミュニケーションをとる。生徒の日々の様子を観察し、どの生徒がどんな状況なのか、担任の先生や各教科担当の先生方とも密に情報交換を行う。たとえ、ただの雑談やなんてことのない相談であっても、必ず生徒の目線に立って真摯に耳を傾ける。そうした日々の行動の積み重ねで、学校の中で一番話しやすい存在になりたいと思っています。

生徒の人生を、夢を支えられる仕事

 生徒を支えることができるのが、一番の魅力だと思います。それを強く実感したのが、ある生徒との出会いでした。その生徒は、なかなか教室へ行くことができず、このままでは単位が足りずに進級もできない状況でした。しかし、その生徒にはパティシエになりたい夢があったのです。その夢を諦めてほしくない気持ちから、まずは保健室登校から始められるようサポートを行いました。スクールカウンセラーや各教科担当の先生方とも連携し、まずは1時限だけ出席してみたり、その後の悩みや不安を受け止めたり。そんな日々を何か月も続けた結果、無事に単位を取得して進級、卒業することができたのです。
 進路も希望通り、製菓の専門学校へ進学が決定。卒業後も、洋菓子と和菓子どちらを専攻するか相談の電話をくれるなど、定期的に報告や相談をしてくれてすごく嬉しかったです。そして、その生徒が和菓子のお店に就職が決まった際「先生のおかげで夢を叶えることができました」と連絡をくれたのです。心からこの仕事をしていて良かったと思いましたし、今後も誰よりも生徒の側で支え続ける存在でありたいと強く思うようになりました。

BOX

教員を目指す方への
メッセージ

 教員は大変な仕事だと思う方もいるかもしれませんが、全てを一人で対応しなければいけないわけではありません。私も、日々他の先生方やカウンセラーの先生にサポートしてもらいながら働いています。また、研修出張等、他校の先生方と情報共有する機会も多くあり、様々な人のアドバイスをいただきながら経験を積むことができます。部活動指導員の方にサポートしてもらえれば部活動の顧問としての負担も大きく軽減できますし、安心して教員を目指してもらえればと思います。

COLUMN 01 私の働き方改革

 養護教諭は学校に一人しかいないため、休みが取りづらい印象があるかもしれませんが、実はそんなことはありません。テストの日の午後は生徒もいないので、そこで休みをとってリフレッシュすることや、生活指導部の先生にお願いをして、授業の日に休みを取ることも可能です。互いにサポートし合いながら、うまくメリハリをつけて働いています。

COLUMN 02 OFF-TIME

 野球が大好きなのでプロ野球の試合観戦に行くのが一番のリフレッシュ方法です。休日はもちろん、平日にも早めに退勤できた日は観戦に行くこともあります。私は巨人ファンなので巨人のユニフォームを着て、タオルを振りながら東京ドームで応援して、選手たちから元気をもらっています。

off-time

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