働き方改革では、欠席連絡のICT化や、児童の端末上に課題や学習シートなどを配布できる学習支援クラウドの導入により、電話対応や印刷業務が格段に短縮され、児童に向き合う時間が増えました。また、教員同士の連絡や書類の共有もデジタル化されたことで放課後の業務時間が短縮でき、プライベートの時間が充実するようになりました。
学び方改革や教え方改革では、端末が学習道具だという考えが児童・教員間で浸透しています。一人1台端末導入前に比べ、児童一人ひとりに合った問題を選択することができるほか、多くの問題を提供できるようになり、より内容の濃い授業を提供できるようになりました。
そして、クラウド上に保存された児童の学習ログから、児童の理解度などを分析することもできます。児童の学びの様子を客観的に知ることができるため、授業改善にも活用しています。
以上は、教育のICT化の一例に過ぎません。
様々な場面でICT化が進んだ教育は、Society5.0の新たな時代を生きていく児童たちにとって、スタンダードな教育となりつつあります。
平成30年に江東区青海にオープンした、体験型の英語学習施設です。小学生から高校生を主な利用対象とし、児童・生徒が英語を使用する楽しさや必要性を体感し、グローバル社会に生きる自分を発見できるよう、様々な機関と連携した多様なプログラムを提供しています。また、令和5年1月に立川にも同様の施設がオープンしました。
平成27年度から、都内公立小学校第3学年以上の児童と中学校・高等学校の生徒全員に配布し、授業をはじめ様々な場面で活用してきました。内容には東京都62区市町村各々の特色を取り入れており、日本・東京の文化や歴史等の理解の促進と英語による発信力の向上を図っています。
令和3年度以降は冊子配布から電子化に移行し、「TOKYO ENGLISH CHANNEL」に掲載しています。
いつでも、どこでも、誰でも、生きた英語に触れられる、英語教育・国際教育に関するポータルサイトを新たに開設しました。
東京都教育委員会がこれまで作成してきた様々なオンライン学習教材、グローバル人材育成に係る特色ある施策、イベント情報等を集約して紹介しています。都立学校の取組の様子、都立高校等の卒業生や著名人からのメッセージを紹介する動画も随時掲載していきます。
5年間で小規模校を除く全校に導入!
東京都では、現在、ほとんどの小学校に音楽専科・図工専科を配置しています。加えて、小学校高学年に専科の教員をもう一人配置し、担任同士で教科を分担する教科担任制をすすめています。教科担任制では、担当する教科が絞られることで、教材研究が深まるとともに、同じ授業を複数回実施できるので、授業の質を高めることができます。また、複数の教員が各学級に関わるため、児童への関わりや支援が充実します。さらに、授業準備にかかる時間が短縮されるとともに、他の教員と指導等について話す機会が増えることで不安や悩みを一人で抱え込まずチームで対応しやすくなるなど、教員一人ひとりの負担が軽減されます。
■ 小学校教科担任制等推進校の声(立川市立第五小学校)
Q. 児童に対して、どのような効果を感じていますか。
A. 児童にとっては、様々な教科において専門性の高い授業が受けられるようになり、授業が理解しやすくなっています。
また、児童はそれぞれに悩みを抱えている場合がありますが、学級担任だけでなく、学年や専科等多くの教員が直接関わることで、学級担任のみならず、話しやすい教員に相談することができています。またその結果、落ち着いて授業を受けることができています。
Q. 教員に対して、どのような効果を感じていますか。
A. 若手教員はベテラン教員と比べて知識や経験は少ないです。しかし教科担任制では、社会科や家庭科等同じ教科を担当する教員が各学年にいるので、若手教員が先輩教員と話しやすくなります。教員同士が教え合い、学び合いが深められるOJTの環境が生まれます。
また、一つの学級に様々な教員が入ることが日常であるため、休みも取りやすくなり、男性教員が育児休業を取得する事例も出ています。
Q. 学校運営における「教科担任制」のメリットは何ですか。
A. 教科の専門性向上という教科指導上のメリットはもちろんですが、実は生活指導面でもメリットは大きいです。一人の児童を学級担任だけでなく、学年や専科の教員も含めて皆で見ることができ、多面的・多角的な児童理解につながっています。
教科担任制の効果は大きく、今後、更に多くの学校に広がっていくと思います。
Q. 複数回実施による授業の質の向上について実感はありますか。
A. 学級担任制の授業であれば、1回の授業のために教材研究を行い、その授業が終わればその教材研究は終わっていました。担当する5年生は3学級あり、教科担任制によって同一授業を3回実施するため、1回ごとにブラッシュアップをすることができ、授業の質が向上している実感があります。また、1つの教科を1年間研究することも有意義に感じています。
6年生の家庭科担当の先生にもアドバイスをもらいつつ、各クラスの雰囲気や児童の実態に合わせて授業をすることを意識できるようになりました。
Q. 組織的な生活指導を実践する中でメリットについては実感がありますか。
A. 児童を見る教員が増えるため、授業の様子などを教員間で情報共有し、その後の対応に活かす等、メリットについては実感があります。
担任としても家庭科担当としても児童と関わることができ、生活指導のノウハウをストックすることができています。
Q. 負担軽減の実感はありますか。
A. 家庭科の担当であり理科などの他教科を教えることが無いため、理科などの他教科の教材研究の時間を、家庭科の教材研究に充てることができ、負担軽減を実感しています。
ノートなど、児童からの提出物を見る量は、1つの教科で見ると増えましたが、授業を複数回行っているため、対応もその経験をもとにできています。
Q. 児童の安心感の醸成は実感がありますか。
A. 関わる教員の数が増えるため、より幅広く児童の把握ができるようになりました。
実際に、私の担任する学級ではない児童から相談を受けたことも何度かあります。担任の先生以外へ相談する児童もおり、安心感が醸成されている実感があります。
小学校に配置される教員のうち、新人育成教員が配置されている学校の新規採用教員を、「学級経営研修生」として任用しています。学級経営研修生は、新人育成教員の支援を受けながら学級を担任し、日常業務を通してスキルアップしていきます。
校内実務研修
新人育成教員の支援を受けて行う通常の教育活動(学級担任業務、校務分掌等)を通して、実践的な研修をします。
教員採用選考に合格して、いよいよ子供たちの前に担任として立つ。そこには大きな不安がありました。東京都には「学級経営研修生」という制度があり、自分が不安としていた授業や子供との関わり方など、経験豊かな先輩教員にクラスに入ってもらい、丁寧に指導していただきました。そのおかげで、不安を解消し、自信をもって子供たちに関わることができました。授業や生活指導についてのみではなく、校務のことや教員としての立ち振る舞い方、社会人としてのマナーなど、様々なことを御指導いただきました。1年目の終わりに、指導教員の方が「ここからがスタート。これまでの経験を生かして、これからも常に学び続けることが大切。応援しています。」と声を掛けてくださり、2年目は一人でクラスを見ていくのかと不安だった自分の背中を押してくださったことが嬉しく、特に印象に残っています。
今、自分を支えているのは、1年目の「学級経営研修生」で学んだことがベースとなっています。これから受験する皆さんも不安が多くあるかと思いますが、東京都には魅力ある先輩教員や研修制度があり、安心して楽しく働くことができると思います。