高橋 大悟
台東区立谷中小学校
教諭
(平成30年度採用)
キャリアプロフィール 大学卒業後、ベンチャー企業にて企業のブランディング戦略やマーケティング分析等を担当する。その後、宮大工、大手ハウスメーカーの施工管理業務を経験する。28歳で教員への転職を決意。塾講師や商業施設スタッフなどのアルバイトで子供と触れ合いながら、通信制大学に入学し、通信教育とスクーリングによって2年間かけて教員免許を取得する。平成30年4月より台東区立谷中小学校にて教諭として勤務。
キャリアプロフィール 大学卒業後、ベンチャー企業にて企業のブランディング戦略やマーケティング分析等を担当する。その後、宮大工、大手ハウスメーカーの施工管理業務を経験する。28歳で教員への転職を決意。塾講師や商業施設スタッフなどのアルバイトで子供と触れ合いながら、通信制大学に入学し、通信教育とスクーリングによって2年間かけて教員免許を取得する。平成30年4月より台東区立谷中小学校にて教諭として勤務。
SPECIAL MOVIE
最初に入社したベンチャー企業では企業のブランディング等を手がけ、その後、宮大工として寺社の建築に携わり、3社目の大手ハウスメーカーでは施工管理を担当しました。将来に対する明確なビジョンを持たずに就職活動をしたせいか、この間、自分の本当の“居場所”は別の場所にあるのではないかという違和感を抱き続けていました。
古くからの友人が教員になったことを知ったのは、3社目で働いていた頃です。彼は社会に出た後に「教師になる」という夢を実現するため、高等学校卒業程度認定試験を経て大学に進学し、ついに教壇に立ったのです。そもそも教員免許を持っていなかった私は、彼に再会するまで自分が教員になるイメージなど全く持っていなかったのですが、その姿に大きな刺激を受け、自分にもチャレンジできるのではないかと思うようになりました。実際に調べてみると2年間の通信教育で教員免許の取得が可能であり、決して夢物語ではなく現実味のある目標であることが分かりました。
また、施工管理の仕事をしていたとき、高速道路のパーキングエリアで見かけた光景も私の背中を押してくれました。それは、パーキングエリアに停まったバスから降りてきた子供たちを先生が引率している光景です。子供たちに頼られ、慕われている姿に、自分も同じような仕事をしてみたいと強い憧れを抱きました。
28歳で教員を目指すことを決意して前の会社を退職し、アルバイトをしながら通信教育で勉強を続けました。全く知らなかった分野について一から学んでいくことは大変でしたが、スクーリングはとても良い刺激となりました。私と同じように教員の夢を目指して頑張っている仲間たちと交流することで、自分もより頑張らねばとエネルギーをもらえました。学生時代は特に将来の目標もなく、毎日を惰性で過ごしていただけだったので、夢を持ってキャンパスで学ぶことがこんなにも楽しいことだと実感できたのは、嬉しい驚きでした。
一方で、自分の選択に対しての不安はありました。一番大きかったのは、それまで子供と接した経験がほとんどなく、教員になれたとしてもうまく振る舞えるだろうかという不安でした。そこで少しでも子供と触れ合う経験を積むために、アルバイトは子供向け商業施設や塾講師などを積極的に選びました。その結果、子供だからと特に意識する必要はなく、一人の人間として自然に接すれば大丈夫だと知ることができました。
具体的なスキルの面では、新卒で入社したベンチャー企業でのブランディング企画の提案やマーケティング調査を通じて得られた資料作成やプレゼンテーションのスキルが役に立っていると感じます。教員としての生活では児童や保護者など、大勢に向かって発表・説明する機会が多く、これらのスキルは直接活きています。また、小学校の教員は様々な教科を教えるため授業の準備が大切ですが、私の場合は企業で身に付けたスキルが効率的な準備にもつながっています。
また、何よりも民間企業で働いていた経験自体が、教員である私の個性であり強みだと思います。例えば宮大工として働いた経験は私ならではの持ち味だと思いますが、その時のエピソードを披露することで、子供たちの関心をぐっと引くことができていると感じています。私のように民間企業で働いた経験は、多様性のある教育を行う上で貴重であると実感しています。
教員とは、人生における出会いと別れが凝縮されている仕事だと感じます。何かしらの縁があって出会った子供たちはかけがえのない存在で、1年間かけて一緒にクラスを作り上げ、思い出を重ね、そして別れを迎える。たくさんの感動が詰まったとても素敵な仕事だと思っています。
初めて担任をしたクラスの最終日、子供たちがサプライズで歌とメッセージを私にプレゼントしてくれました。奇しくもその歌は、私が子供たちに用意していたメッセージ動画に使用していた歌と同じものでした。偶然ではありましたが、心が通じ合い、同じ思いでいてくれたことに感激しました。
また、日々の授業では、自分の工夫次第で子供たちの様々な反応を感じられる点も教員の面白みの1つです。教員の仕事は非常に奥深く、試行錯誤を重ねながら授業に臨んでいます。子供たちと一緒にどこまでも成長していけることに、大きなやりがいを感じています。
私自身、これまで多くの人に支えられ、影響を受けながら生きてきました。同じように、今は私が子供たちに生き方のヒントを与えられたらという思いで教壇に立っています。そして子供たちが将来「あの先生と過ごした1年間があったから自分の可能性に気づくことができ、自信を持てるようになった」と目を輝かせてくれるような教員を目指しています。
教員の仕事には本当に大きなやりがいがあります。これまで蓄積してきた様々な経験が必ず活かせる職業ですので、ぜひ思い切って挑戦していただきたいです。
もちろん教壇に立つまでは、様々な困難、不安があると思います。実際に私もそうでした。教材研究に時間がかかったことに加え、どう教えていいのか、迷ったこともありました。しかし最初からうまくできないのは当たり前です。授業準備に際してはベテランの先生方がアドバイスをくださいますし、教材の印刷や掲示物の用意などはスクールサポートスタッフの皆さんが手伝ってくださいます。こうした多くのサポートがあり、次第に仕事に慣れていきました。さらに、日々子供たちが成長していく姿を目にする喜びが、自分の成長を後押ししてくれました。
東京都は日本の中心都市であり、多様な人材が集まって、活気に満ちています。私の勤務する学校も若い教員が多いため職場にエネルギーがあふれ、互いに切磋琢磨していこうとする雰囲気に満ちています。私はこうした環境において、自分本来の“居場所”を見つけることができました。
教員とは、人生をかける価値のある仕事だと思います。自分ならではの経験を強みに、東京都の教員として活躍してみませんか。もし迷っていたら、思い切って飛び込んでみてください。