矢崎 みなみ
都立清瀬特別支援学校
教諭
(令和2年度採用)
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小学生の頃に特別支援学校へ足を運ぶ機会があり、そこで目にした教員と児童の関わり合う姿に感銘を受けたことで、私の心の中に「特別な支援を必要とする子供たちが楽しい学校生活を送れるよう力になりたい」という思いが芽生えました。それが確かな志へと変わったのは、学生時代にボランティアで障害のある方々と関わる活動をしたときです。最初は緊張していた障害者の方々が、私が積極的に笑顔で話しかけると、次第に心を開いてくれて自然なコミュニケーションを取れるようになっていったのです。ハンディキャップのある方は、どうしても経験できることの幅が狭くなりがちで、興味をもてる対象も限られてしまうこともあるのではないでしょうか。私のサポートを通じて、少しでも多くのことを経験してほしいと考えるようになりました。東京都には、数多くの特別支援学校が設置されています。そのため、様々な学校でスキルを磨くことができるのではないかと考え、最終的に東京都の受験を決めました。
初任から小学部のクラス担任をしています。初めて教壇に立ったときは、子供たちのキラキラとした真っすぐな視線を前に、これからこの子たちを支えていくんだという使命感を新たにしたものでした。
もちろんうまくいくことばかりではありません。ショックだったのは、急遽担当することになった授業で、変化を受け入れることが苦手な児童から「矢崎先生は帰ってください、違います」とはっきりと言われたことでした。これは本当に悲しかったです。しかし後日、この児童から絵手紙を受け取り、私の顔の周りに可愛らしいハートが描かれているのを目にしたとき、“この子は私が嫌いだったわけではなく、本当は環境の変化が辛かったんだ”と気がつきました。そして、安心させてあげられるような言葉がけが必要なのだと学びました。現在特に心掛けているのは、発言、表情、授業内容など、何ごとも“分かりやすく”することです。明確に伝えることで児童も“今は何をやるべきか”が分かって安心するとともに、「この先生は自分を見てくれている、褒めてくれている」と自信をもつことができるからです。その積み重ねで子供たちとの信頼関係が築けていきます。
特別支援学校は1クラスの人数が少ないため、子供たち一人ひとりにじっくり寄り添い、支援できる環境が魅力です。一つのことができるようになるまで時間のかかる児童も多く、毎日同じことを繰り返す中で少しずつ難度を上げていったり、やり方を変えたりすることで、わずかながらも着実に成長していく姿が見られます。時間と手間がかかる分、できるようになった際の喜びは大きく、その笑顔を見られるのは特別支援学校の教員ならではのやりがいです。職員室で同僚の先生と「今日はあの子がこんなことができるようになりました!」と盛り上がる時間も、楽しいです。
今後は知的障害部門だけでなく、肢体不自由部門など様々な学校で働き、多くの児童との関わりを通じて指導の幅を広げていきたいと考えています。そして、私が教員を目指した際の「できるだけ多くの経験をしてほしい」との思いを忘れることなく、授業にも自分なりの創意工夫を盛り込みながら、子供たちに常に自信と安心を与えられる教員でありたいと強く感じています。
当校では水曜日が「定時退庁日」と定められており、管理職の先生方が率先して早く退勤できるように声をかけてくれます。また、1時間単位で休暇が取れるので、子供たちが帰った後に早めに仕事を切り上げて、プライベートの時間を楽しむこともあります。忙しいときもありますが、学生時代に想像していた以上に柔軟な働き方ができる環境です。
普段の土曜日は近所の公園で散歩したり、趣味の写真撮影を楽しんだりして、日曜日は家でのんびりと寛ぐことにしています。体を動かすことも好きで、最近は同期の先生方とチームを組んでマラソン大会にも出場しました。また、昨年自動車を購入したので、友達とドライブを楽しむこともあります。