ここから本文です

教員のリアルを知る

STORY 03 高等学校

安野 光祐

都立大島高等学校
主任教諭 (平成26年度採用)

教えるだけではなく、 悩みや喜びを共有できる存在に。

教えるだけではなく、 悩みや喜びを共有できる存在に。

SPECIAL MOVIE

お世話になった先生や
学校に恩返しを

 自分自身が学生時代に学校や先生に大きく助けられたこともあり、その恩返しができればと教員を目指しました。実は、小学校低学年の頃の私は不登校児童でした。いじめられたわけではなく、親のもとを離れるのが不安だったのです。当時の担任は、そんな私にも寄り添ってくれて「お母さんと一緒に登校してもいいから、学校に来てみようよ」と優しく声をかけてくれました。登校できるようになった後も、優しくするだけではなく間違ったことをしてしまったときには厳しく叱ってくれ、人間として大きく成長させてもらいました。
 中学や高校でも進路について親身に相談に乗ってくれる恩師と出会い、学校生活における悩みごとは全て親ではなく先生に相談してきました。1日の中で、また大人になるまでの期間で、学校で過ごす時間はとても長いものです。その時間が苦痛であれば、人生自体が苦しいものになってしまう。自分自身が苦しい思いも助けられた思いもしてきたからこそ、今度は自分が助ける側になれればと教員になることを決めました。

先生と生徒ではなく、
対等な人間として関わる

 教員を目指した理由にも通じていますが、ただ勉強を教えたり生活指導をしたりするだけではなく、生徒が悩みや楽しみを気軽に共有できる存在でいることを意識しています。そのために大切だと思うのが、一人の人間としてフラットに接すること。陰口や悪口は絶対に言わない。表裏のある対応をしない。人によって態度を変えない。誰に対しても壁は作らない。そうした、人として当たり前の態度や振る舞いの積み重ねこそが大事だと思っています。
 もう一つ心掛けているのが、生徒の良い面に目を向けること。教員は、生徒の成長を支援する仕事なので「ここを直せば、この子はもっと成長できる」とマイナス面に目を向けてしまいそうになることもあります。でも、私も含めて大人であっても、不得手なことがない人などいません。どれだけ歳を重ねて人生経験を積んでも、短所がまったくなくなることはないのです。それなら、そこに目を向けるのではなく、生徒一人ひとりの長所に目を向けて、どんどん褒めて伸ばしたい。私は、そう思っています。

生徒たちの、
想像を超えた可能性に触れられる

 生徒たちには、私たちの想像を超えるようなパワーや可能性があります。それを感じられるのが、教員の仕事の一番の醍醐味ではないでしょうか。特にそれを感じたのが、今年実施した学校祭でした。新型コロナの流行もあり、これまで学校行事を思う存分楽しめなかった生徒たちの気持ちを考えて、届出さえ出せば服装は自由にしました。モラルに反した装いをする生徒が出るのではと不安もありましたが、生徒を信じて自由化に踏み切りました。
 すると、風紀を乱さない範囲でどこまで許容できるか考え、自分たちでルール作りを始めたのです。話を聞くと「せっかく自由にしてもらえたのに、そのせいで風紀が乱れたらきっと来年から禁止になっちゃうから」と生徒同士で話し合ったとのこと。その結果、校内は様々なコスチュームを身に纏った生徒たちで溢れ、大盛況。教員もバンドを組んで出場してしまうくらい盛り上がりを見せました。教員が過度な規制や指導をしなくても、期待して任せれば生徒たちはこんなにもパワーを発揮できるのかと頼もしく感じ、感慨深かったです。

BOX

教員を目指す方への
メッセージ

 教員のやりがいや魅力、つまり自分がこの仕事から何を得られるかを考える人が多いのではないかと思います。それも大事な要素に違いありません。ただ、教員は生徒の学校生活や、その後の人生をも左右する仕事です。だから、自分が生徒たちに何を与えられるのかも考えてほしいです。別に特別な知識や技術である必要はありません。これまでのあなたの一つひとつの経験を、生徒たちに還元してあげてください。どんな経験であっても、その全てが教員としての厚みにつながるのも、この仕事の素晴らしいところですから。

COLUMN 01 私の働き方改革

 私は「もっともっと生徒に寄り添いたいし、あれもこれもしてあげたい」と思ってしまうので、個人的には勤務時間を気にせずに働きたいのが本音です。ただ、限られた勤務時間内で効率的に業務を行うことも大切。そうした意味では、職員室内で助け合う風土が根付いているのは大きいと思います。産休や育休をはじめとした制度も整っていますし、そうした制度をもっと活用しやすくするための意見も自然と出し合う雰囲気があります。

COLUMN 02 OFF-TIME

 子供たちと遊ぶのが一番のリフレッシュですね。大島は海と山に囲まれた環境なので、子供の遊び場には困りません。5月から海に入れるので、子供を連れて海水浴に出かけたり、山を登ったり。これだけ海が身近なので、同僚の先生方の中には、釣りやダイビングを楽しんでいる方も多いです。

off-time

興味関心かあらコンテンツを探す