阿曽 大地
新島村立新島中学校
教諭
(令和2年度採用)
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私は、自分の育った地に恩返しをしたいという思いで、東京都での教員の道を選びました。採用後は内地の中学校で3年間勤務し、その後、島しょ部の新島中学校に赴任しました。島への異動は私の人生において想定外のものでしたが、「異動は最大の研修である」と他の先生方から聞いたように、ここで経験する全てが学びにつながっていると実感します。島しょ部では授業の持ち時数が少なく、教材研究に多くの時間を費やせることに加え、担当教科以外の学習にも取り組むことで自分の能力を高めていける点も魅力です。
一方で、島しょ部は教職員の入れ替わりが多いので、教育の一貫性や連続性を保つための工夫がされています。具体的には、村内の小学校や高校と連携し、相互に学習活動を参観したり、校種を超えた生活指導を展開したり、クリーン活動や作品展などの学校行事を合同で行ったりと、学校間の情報交換を密にする等の取組を行っています。
一番のやりがいは、生徒の成長が実感できたときです。その瞬間のためにこの仕事を選んだと言ってもいいでしょう。
今でも印象に残っているのは、体育のマット運動の授業でのことです。次回の授業の予告を聞いてある生徒が「できないから、やらない」とつぶやきました。どうやら過去に技を失敗して恥ずかしい思いをしたことがこの言葉の裏にあったようです。私は授業後に生徒と話し合い、全力で支えることを約束しました。授業当日、生徒が勇気を出して挑戦してみると、こちらの心配など全く不要だったかのように、その生徒はあっさりと技を習得できたのです。私は思わず拍手をしながら最大級の賛辞を贈りました。
挑戦することの大切さを学んでくれたからか、この日を境に彼は人より早く集合する、グループワークでリーダーシップを発揮するなど、授業に取り組む姿勢もガラッと変わりました。こうした生徒が大きく成長する瞬間を目の当たりにでき、教員としての喜びを改めて感じました。
教員数が多いことも、東京都ならではの魅力だと感じています。赴任する先々で様々な専門性や経歴をもった教員に出会い、その蓄積されたノウハウを吸収できます。時には温かく見守り、時には厳しく教え導いてくれます。私もそうした先輩教員からいただいた言葉を心の中で繰り返し再生しながら自分にフィードバックし、着実に成長していきたいと考えています。それが生徒の成長、ひいてはお世話になった地への恩返しにつながると信じております。地域の活性化に教員としての立場で少しでも貢献できたら、こんなに嬉しいことはありません。
豊かな自然に包まれ、海も近い島しょ部での暮らしには、日々新たな発見があります。近隣の島に出かけることはいい気分転換になりますし、困ったときは教職員住宅に住む仲間がすぐに手を差し伸べてくれます。こうした恵まれた環境の中、これまでに出会った多くの先輩教員の姿を思い浮かべながら、自分も少しでもその姿に近づきたいとの思いで業務に取り組んでいます。
前任校ではスクール・サポート・スタッフがプリントの印刷や掲示物の作成などを引き受けてくれたのに加え、部活動指導員が部活動指導や引率を手伝ってくれていました。おかげで1日当たり2時間程度の勤務時間の削減ができました。並行して、業務の効率化や計画的な仕事の進め方、完璧を目指しすぎないようにするなど、個人としても意識改革に努めています。今後も、職場の業務改善に積極的に取り組みながら働き方改革を推進していきます。
新島に異動してからは、同僚と釣りに行ったり、海沿いを走ったり、夏は泳いだりと、充実したオフタイムを過ごしています。釣りに関しては島民の方からアドバイスをいただき、魚を釣るコツをつかんだだけでなく、魚を三枚におろせるようにもなりました。また、内地へ異動する先輩教員からダンベルやサーフボードをいただいたので、筋トレやサーフィンも始めました。これからも充実したライフ・ワーク・バランスを維持しながら、健康的な教員生活を送っていきたいと思います。