小川 大二
豊島区立椎名町小学校
教諭
(平成31年度採用)
キャリアプロフィール 大学卒業後、酒類の卸会社に就職。営業として飲食店に対して酒を卸しながら、店舗の売上向上や新規店舗の立ち上げサポートを担当。その後、教員への転職を志し、通信制大学の教育学部に再入学。仕事と並行しながら学習を進め、教員免許を取得。平成31年度4月より豊島区立椎名町小学校にて教諭として勤務。
キャリアプロフィール 大学卒業後、酒類の卸会社に就職。営業として飲食店に対して酒を卸しながら、店舗の売上向上や新規店舗の立ち上げサポートを担当。その後、教員への転職を志し、通信制大学の教育学部に再入学。仕事と並行しながら学習を進め、教員免許を取得。平成31年度4月より豊島区立椎名町小学校にて教諭として勤務。
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教員へ転職する前は、酒の卸会社に勤めていました。飲食店の立ち上げや売上の向上に関われる喜びを感じながら働いていましたが、少し寂しい思いもありました。毎年多くの飲食店が開業しますが、経営の難易度が高く、多くの店舗がすぐに廃業してしまうのが実情です。せっかく支援したお店が潰れてしまう悲しさから、他の仕事への転職を考え始めました。
ちょうどその頃に友人とご飯に行く機会があり、今の仕事について抱えている悩みや転職を考えていることを相談したときに勧められたのが教員だったのです。実は、その友人が教員として働いており、未来へ羽ばたく子供たちを支える仕事の醍醐味を聞かせてくれました。その話を聞くうちに、次第に教員の仕事への興味が増していったのです。ただ、興味は湧きましたが、最初は「教育に関して無知な自分が今から教員になれるのか?」と不安の方が大きかったです。しかし、自分で調べるうちに、通信制の大学でも教員免許が取れることが分かり、それなら今からでも教員になれると考え、教員を目指すことを決意しました。
通信制の大学で免許が取れると分かり、早速入学したまではよかったものの、そこから万事順調とはいきませんでした。担当のお客様も多く抱えていたので、すぐに当時の仕事を辞めることは難しく、最初の頃は仕事と学業を並行して進める必要がありました。半年ほどかけて仕事を整理して退職した後も、生活費の問題もあったのでアルバイトと学業の両立生活。「本当に教員になれるのだろうか」と不安もあり、この生活に慣れるまでは精神的にもタフな時期が続きました。
そんな自分の支えになったのが、一緒に学ぶ学友の存在。通信制大学ではありましたが、一人で学習を進めるのには限界があると感じて、在宅での学習とスクーリングを半々で進めていました。そして、大学に行った際には意識的にいろいろな人に話しかけるようにして、どんどん仲間を作っていきました。分からないところを教え合える点で学習面でもありがたかったですが、何より同じ夢を追いかける仲間がいる事実に精神的にも励まされました。
働きながら大学に通うなど、民間からの転職で苦労もしましたが、それ以上にメリットも大きいと感じています。特に役に立っているなと感じるのは、企業での勤務経験によって社会の常識やビジネスマナーを学べたこと。現在、小学校に勤務しているのですが、6年生には政治や経済についての授業を行います。その際に、自分の社会人時代の経験も交えながら、実際の社会に即した形で子供たちへ教えることができています。実際に自分が感じたことを話すので、より熱や想いを込めて説明できますし、子供たちが社会に出た際に活かしやすい知識を伝えられているのではないかと思います。
また、ビジネスマナーに限らず、社会で必要になる礼儀や作法は、子供であっても社会生活を営む上で大事なものです。それらを、実感を持って伝えられるのも、社会人経験があることの強み。もし、もう一度選び直せるとしても、民間企業を経て教員になる道を選ぶと思います。
子供たちの成長を間近で見られることに尽きると思います。勉強の面だけではなく、生活面も含めた人としての成長を日々感じることができるのが小学校教員の魅力。1年生の担任を持った際には、授業時間の最後まで集中力が続かない子や、中には座ってじっとしていることも難しい子もいました。そこで「だめだよ、大人しくしようね」と注意するだけで終わらせていては、いつまでも前に進まない。そう思い、他の先生にこういう場合どうしているのか聞きに行ったり、心理カウンセラーに相談したりもしました。
そこでもらったアドバイスを参考にしながら、教卓の下に段ボールで部屋を作って「椅子に座れないならこっちへおいで」と、椅子ではなくても一箇所にじっとして授業を聞くことに慣れさせるなど、自分なりに工夫しながら授業を行いました。すると、そのうち自分の席に座って、最後まで授業を聞けるようになり、その子もクラス全体のテストの点数まで上がりました。自分の努力や工夫が、子供たちの成長という形で目に見えて返ってくるのは教員ならではの醍醐味だと思います。
教員の仕事は大変で、教員になるのも難しいというイメージがあると思います。私自身、最初の就職活動で教員という仕事を選択肢に入れなかったのは、そうしたイメージを持っていたからでした。しかし、実際になってみて感じたのは、大変なこと以上に喜びが大きく、本当にやりがいのある仕事だということ。先ほどお話しした、子供たちの成長を日々感じられることだけでなく、子供たちの素直な反応がもらえるのも教員ならでは。完璧に準備をした自信のある授業に対しては子供たちも「面白かった!」と喜んでくれますが、これでいいのかなと不安を抱えたままの授業だと「つまんない!」と言われることもしばしば。素直で正直なので、反応が楽しみになりますし、その反応を踏まえてより良い授業を作りやすいです。
また、素直ということは話す言葉に裏がなく、お世辞も言わないということでもあります。だから、終業式の日に子供たちが「来年も小川先生がいいな」と言ってくれると、本当にそう思ってくれているのだと心から嬉しく思えます。ぜひ、一緒に教員として子供たちの成長を支えましょう。