佐藤 正紀
都立足立東高等学校
教諭
(令和3年度採用)
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小学校の社会科の授業がきっかけで歴史が大好きになった私は、「好きなことでメシを食う」生き方に憧れ、社会科の教員の道に進みました。教育実習で印象に残っているのは、指導教員から「教科書を教えるだけが教員の仕事ではない」と指摘をもらったことです。参考資料や図版などを提示することが生徒の好奇心につながり、理解を深める手助けになることを知り、それによって私の“好き”という思いが生徒により強く伝わることを実感しました。 生徒一人ひとりの想いが記された色紙をいただいたこともあり、この仕事で一生涯働きたいとの思いを強くしました。
東京都を選んだのは、首都ならではの恵まれた環境に惹かれたからでした。実際に大規模な図書館や博物館等の豊富な教育資源を活用した自己研鑽の機会が多く、常に最新の研究成果に触れながら自分自身の学びを深めていくことができます。また社会人経験や大学院経験など、多様な背景をもつ教員仲間から刺激を受けられる点も大きな魅力であると考えています。
現在私は生活指導部の教員として、学校行事等の企画や運営、日々の生徒指導に携わっています。学校生活における「主役」はあくまで生徒で、教員は「プロデューサー」として黒子の役割に徹し、常に生徒一人ひとりをどのように輝かせるかに主眼を置いて業務に当たっています。入学当初はうまく自己主張できなかった生徒が、最後の学校行事の合唱コンクールで顔を輝かせながら素晴らしい歌声を響かせる姿には、こみ上げてくるものがありました。
私が大切にしているのは、生徒の「先生が見てくれている」との実感です。例えば学校行事で活躍した生徒がいたら「あのとき、頑張ったね」と褒めてあげると、自分を見てくれていたんだとの驚きとともに顔を輝かせてくれます。その積み重ねで信頼関係を築いていくことを大切にしています。問題行動を起こす生徒に対しても叱って解決するのではなく、対話を通じて動機や原因を理解し、根本からの解決を図ることを心掛けています。
高校時代は、人生における序章に過ぎません。その思いのもと、生徒の卒業後の人生を想像しながら指導に当たっています。
1年生の生徒がバスケットボール部の大会に来なかったということがありました。頭ごなしに注意するのではなく、じっくりと時間をかけて欠席した理由を聞き出したところ、生徒が普段の練習内容に不満を抱いていたことが分かりました。不満解消のためどうしたらいいか、対話を重ねたことで、生徒は卒業まで部活動を継続でき、投げ出さずに頑張ることを学んでくれました。この経験は生徒の卒業後の生き方において間違いなく大きな意味をもつと思います。「点」ではなく、過去、現在、未来をつなぐ「線」を意識しながら生徒に寄り添うことは、教員ならではのやりがいです。
今は学校の生徒全員に寄り添いたいと考えていますが、将来は教育管理職として教育を通じて東京都全体を支えていくことが目標です。東京都の全ての生徒と先生が生き生きと学校生活を送れる、そんな環境の実現に貢献したいと考えています。
教員になりたての頃はアナログな作業に時間を費やすことが多かったのですが、現在はデジタル化によって環境が大きく変わりました。私が特にメリットを感じているのは、定期考査のweb採点ができるようになったことです。採点にかかる時間が減って考査後の業務時間の削減につながったほか、テスト直後の授業で答案の返却ができるため、生徒にとっても効果的な振り返りができています。答案紛失のリスクが抑えられることも、見逃せない利点の一つです。
ダイエット目的で始めたランニングでしたが、今ではすっかり夢中になっています。もともと体を動かすことが好きだったことに加え、時間や場所を選ばず、一人で取り組める点が私にとってぴったりでした。気持ちの切り替えにもちょうどよく、仕事が終わってから10kmほど走ることもあります。今度、人生初のフルマラソンに挑戦する予定で、好記録を狙っています。目標に向かって頑張る姿勢を見せることにより、生徒にも何か大切なものを伝えられるのではないかと思っています。