教員を目指したきっかけや、実際に教員になってみて感じたギャップ、仕事のやりがいや東京の教員の魅力、気になるライフワークバランスについて、4名の教員がホンネで語ってくれました。
矢野私は、大学に入ったときは教員になる気はまったくなかったんです。親族に教員が多かったこともあって「一応、教員免許は取っておきなさい」と言われて教職課程をとっていた程度でした。
山尾そうだったんですね。そこから、どうして教員を目指すことにしたんですか?
矢野教育実習が楽しくて。もともと、人前で話すことは好きだったので、授業すること自体が楽しかったんです。授業に対して学生たちが素直な反応を返してくれるのも嬉しくて、先生の仕事って楽しいかもと思ったのが目指した理由ですね。
藤江私も、昔からどうしても先生になりたいというタイプではなかったので、少し分かります。振り返ってみると、試験勉強のときに友だちに勉強教えてるのって楽しかったな、じゃあ先生もアリかもしれないな、くらいのきっかけでした。そこから、教員について考えるようになって、子供の成長を支えるだけじゃなくて、子供たちの成長を通じて産業とか日本とかまで支えられる仕事じゃないかと思えたのが決め手でした。
神谷皆さんの話を聞いて、少し安心しました(笑)。というのも、私も教員を目指し始めたのは、友人が教職課程の説明会を受けに行くのに、ついて行ったのがきっかけだったので。ただ、皆さんと少し違うのは、私が興味を持ったのは特別支援学校の教員だったこと。特別支援学校は、子供3人に対して教員が2人ついているなど、より子供との距離が近く、密度の濃いコミュニケーションがとれるんです。それだけ近い距離で子供の変化を感じられるっていいなと思ったんですよね。
山尾私は単純に、自分の学生生活が楽しかったからですね。先生にも友だちにも恵まれて、素敵な時間を過ごすことができたので、学校で働くのもいいなと思って先生を目指しました。
山尾率直に言うと、仕事量は多いなと思いました(笑)。
矢野私も、授業以外にもこんな業務がいろいろあるのかというのが第一印象でしたね。
山尾ただ、それ以上に周りの先生方がたくさん助けてくださいました。
藤江同じくです。周りの先生には本当に支えてもらいました。やったほうがいいことから、逆にやりすぎなことまで、アドバイスが的確で助かりました。
神谷特別な支援を必要とする生徒を指導するので、やはり専門性が求められました。自分の指導教員の先生が外部の研修も活用して理論に基づいた指導をしているのを見て、「自分も頑張ろう!」とモチベーションになりました。
山尾授業をしていても、クラスや日によって反応がまったく違うので、とても楽しいです。それに、日々成長し続けている生徒たちと一緒に過ごせるので、とにかく毎日が新鮮で、飽きることのない仕事じゃないかと思います。
矢野あとは、ベタかもしれませんが卒業式の日に「先生が担任でよかった」と生徒や保護者に言われると泣きそうになるくらい嬉しいですよね。
神谷あれは最高の瞬間の一つですよね。私も卒業の際に保護者の方からもらった「神谷先生との出会いは親子にとってかけがえのないものになりました」とのお手紙は宝物です。
藤江卒業式もそうですし、卒業後に「先生に教わったことを今も大事にしています」みたいな連絡が来たときもいい仕事だなとしみじみ思います。
藤江私は教員を目指す準備として東京教師養成塾に通っていたんですが、こうした教員を目指したり、教員生活を送ったりする上でサポートしてくれる制度が豊富なのは、東京で教員になる大きなメリットだと思います。
神谷私も養成塾に通っていましたが、当時の経験は大いに活きていて、ありがたい制度だと感じています。また、教員になった今もスキルアップのために教師道場に通っていて、こちらもすごく勉強になっていますね。
藤江教師道場、私も今通ってます。研修制度が豊富だと、教員として描けるキャリアも広がりますよね。
矢野お二人のお話に加えて、プライベートの面でも東京は多くの施設や娯楽があるので、思う存分リフレッシュして働ける環境が整ってるなと感じます。
山尾たしかに、美術館や博物館なども多いですよね。自分が訪れて刺激をもらうのもそうですが、生徒たちも授業で学んだことを実際に見に行ったりできるので、授業と実体験をリンクさせた教育ができるのも東京都の魅力かもしれませんね。
山尾徐々に不要な業務や工数の削減が進んでいますよね。私の学校でも、例えば通知表の所見欄の見直しが行われました。代わりに面談等を行っていますが、インパクトは大きいです。
神谷コロナ禍の中で変えたり中止したりせざるを得ないものが出てきた中で、要不要の精査が進みましたよね。
矢野そうした業務のあり方や制度の改善とあわせて、ツールが充実してきているのも助かっています。採点システムや出欠管理システムの導入でかなり業務負荷が下がりました。
藤江あとはやっぱり人ですね。周りの先生がいろいろ教えてくれますし、過去の指導データも残っているので、参考にすることで業務を効率化して、自分のペースで働けています。
矢野大変なことがあるのは間違いないですが、それを踏まえてもこんなにいい仕事はないと思います。私も日々、人を育てるという仕事ができていることにやりがいと責任を感じながら生徒に向き合っています。壁にぶつかったとしても、周りにはサポートしてくれる経験豊富な先輩方もいますし、活用できる制度もたくさんある。教育への熱意と、謙虚に学び続ける姿勢さえあれば、きっといい先生になれると思うので、恐れずに教員を目指してほしいです。
藤江こんなに自分の仕事の成果を目の前で確認できる仕事はなかなかないと思います。特に小学校は、子供たちの成長も著しく、勉強面だけでなく、人としても成長していく様を感じられます。もちろん、しんどいこともありますが、子供たちの成長や変化という形で、その苦労は必ず報われます。やりがいに溢れたこの仕事に、ぜひ一緒に向き合いましょう。
神谷教員になりたいと思った方は、ボランティアや養成塾などで実際の学校現場を肌で感じてみることをお勧めします。教員が実際に働いている姿や子供たちの様子を見ることで、教員としての自分の適性にも気付くことができますし、教員になった後にも活かせます。実際に現場を知って、仕事の魅力を感じた方と一緒に働ける日を楽しみにしています。
山尾どんな仕事にも、色々な良さや面白さがあるんだと思います。その中で教員は、生徒たちの笑顔というかけがえのない瞬間に立ち会える仕事です。驚きや喜び、楽しみというたくさんの感情と経験を、毎日生徒たちからもらっています。教員の醍醐味です。少しでもいいな、やってみたいなと思った方には一歩踏み出してもらえたら嬉しいです。