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教員のリアルを知る

臨時的任用教員STORY 05養護教諭

梅津 日向子
千代田区立昌平小学校
令和5年度任用
※現在は正規教員として
東京都立水元特別支援学校で勤務

臨時的任用教員になる以前について

 福島県で生まれ育った私は高校時代、東日本大震災に遭遇し、大勢の被災者が避難所で暮らす様子を目にしました。心のケアが必要な子供たちも多く、その姿に触れたことで心理カウセリングを学ぶようになり、養護教諭として子供たちを支えたいとの思いにつながりました。
 都内の大学を卒業後は故郷の福島県に戻って通信制高校の養護教諭として勤務しました。正規教員を志望したものの、狭き門でしたので非常勤講師としてスタートしたわけです。生徒や保護者の困り事や悩みに接し、学生時代の机上の学びだけでは分からなかった様々な問題に触れられたことは大変貴重な勉強になりました。その4年後、結婚を機に夫の住む関東に転居し、千葉県の小学校で約半年間、講師として勤務しました。

臨時的任用教員に応募したきっかけは?

 千葉県の小学校で半年間働いた後、千代田区立の小学校で、臨時的任用教員の養護教諭として働くことになりました。なぜ千葉から東京に移ったかというと、民間企業で働く夫の勤務先が都内だったことや私自身の通勤の便利さなどを考えてのことでした。また、いずれ出産し、子どもを育てることを思うと、都内の教育環境の充実ぶりに惹かれたことも、理由でした。
 福島時代から、いずれは正規教員として働きたいと考えていたので採用試験は受け続けており、千代田区立の小学校に勤務中にようやく合格したことで、翌年の春から正規教員として働くことになり、そのタイミングで現在の水元特別支援学校に着任しました。

臨時的任用教員から正規教員になって感じるやりがい

 養護教諭としてのやりがいに、臨時的任用教員と正規教員で大きな違いは感じません。正規教員として特別支援学校で働く中で、学ぶことは非常に多いです。特別支援学校では子供たちの状態や疾患は本当に様々で、学校全体で1人ひとりに合わせた支援を行っています。そのため他の先生方との情報共有、協力体制は非常に大切です。中には身体的な医療的ケアが必要な子もおり、保健室に詰めてくださっている看護師さんとの連携が必要となりますし、場合によっては外部の医療機関に協力を求めることもあります。
 養護教諭と聞くと“保健室の先生”とのイメージですが、このように保健室外、学校外との関係性が重要になってくるのです。
 一方で、子供たちとの触れ合いがやりがいにつながるのは、他校種の学校と変わりません。例えば鼻血を出した子に「ここを押さえて止血するよ」と説明しながら手当をしたところ、後日、保護者から「家でも先生に教わったやり方で止血していました」と聞きました。保健指導が子供たちの日常に根付いていることを、嬉しく思いました。

正規職員との違いや働く環境について感じること

 通勤時間などを考えて希望のエリアの学校を選べることは、臨時的任用教員ならではの魅力に感じました。いずれ正規教員になりたいと考えていたため、各種手続きの申請の仕方など事務的な所作について、臨時的任用教員として経験できたことは、正規教員として働く今、日々の業務の上で役立っています。
 環境の点では、正規教員の皆さんから力強いサポートをいただいたことが印象に残っています。採用試験に向けて面接や論文のポイントなどについてアドバイスをいただきましたし、初めて東京の小学校に勤務することになった際は、産休でお休みされる前任の先生から引き継ぎに1ヵ月以上もかけていただきました。正規教員が臨時的任用教員をサポートしてくれる環境は、とても心強いものです。

ライフ・ワーク・バランスについて

 地方から東京に転居すると、やはり通勤事情が気になりますので、通勤時間や混雑する路線などを考えながら勤務地を選べる点は、ライフ・ワーク・バランスを充実させる上でとても助かりました。また、東京は文化施設やエンタメ施設などが整っており、リフレッシュできる場所が多いことも嬉しいです。交通の便がいいことから週末の日帰り旅行なども楽しめ、満足できるプライベートを過ごすことができます。

臨時的任用教員を目指す方へのメッセージ

 教員の仕事は子供たちの人生や成長に大きく関わる、責任の重い仕事です。養護教諭の場合は、子供たちの生命に直接関わることも少なくありません。教員としてのブランクのある方が現場に戻ろうと考えても、こうした責任の重さにプレッシャーを感じるのも無理はないでしょう。その気持ちはよく分かります。
 けれど学校全体で臨時的任用教員を支え、サポートする体制がありますし、どの教員も常に見守ってやさしく声をかけてくれます。分からないことがあっても、相談すれば誰でも丁寧に教えてくれます。
 教員には教員でしか味わえないやりがいがありますから、せっかく教員免許を持っているならば、ぜひチャレンジしていただきたいと思います。

COLUMN
東京都の臨時的任用教員の魅力

 臨時的任用教員として勤務していた小学校で私は、特別支援教育コーディネーターをしていました。特別支援教室での指導を行う際に、巡回指導教員や巡回相談心理士、特別支援教室専門員やスクールカウンセラーなど、様々な分野のスペシャリストが集まっており、それぞれの分野から意見を出し合い、よりよい方法を模索していける体制が整っていることには、東京都ならではのきめ細やかさを感じました。また、研修等が充実していて、常に新しい知識を得られる点も、東京で働くメリットだと感じています。