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教員のリアルを知る

臨時的任用教員STORY 04特別支援学校

村松 直康
都立矢口特別支援学校
令和4年度任用

臨時的任用教員になる以前について

 大学卒業後は町田市の小学校に5年間勤務しました。高校生の頃から教員になりたいと考えていたので、仕事のやりがいは大きく、充実した日々を過ごすことができたと思います。しかし残念ながら、心身の不調もあっていったん退職せざるを得なくなりました。今振り返ればもう少し頑張れたらとの悔いも少しあります。
 小学校教員を退職後は民間企業に転職し、約12年間、営業職として働きました。営業といっても新規開拓の飛び込みはなく、既存の得意先との取引を中心に担当し、接待なども行いました。忙しく過ごす中でコミュニケーション力が磨かれ、人間関係も大きく広がるなど、営業職だからこそ得られたものは多かったと感じています。

臨時的任用教員に応募したきっかけは?

 民間企業での仕事に次第に行き詰まりを感じ、退職する決心をした時は40歳を過ぎていました。子供が2人いましたが妻が働いていたこともあって急に生活に困ることはなく、1年ほどかけてアルバイトをしながら次の仕事探しをしました。そこで突きつけられたのが、ミドル層の再就職の難しさです。ハローワークの求人票を見ても、40歳以上となると面接にこぎ着けることさえ難しい状況でした。
 そんな時に偶然目にしたのが、教員募集のポスターでした。教員免許があれば何歳でも働くことができると知り、今からでも教員に戻れると知ったのです。想像もしていなかったことでした。すぐに東京都の臨時的任用教員・時間講師の名簿登載選考に申込み、再び教員として働き始めることになりました。

実際に臨時的任用教員として働いて感じるやりがいは?

 久しぶりに教育の現場に戻り、“40代の新人”として改めて新鮮な日々を送っています。かつて小学校で教えていたときのことを懐かしく思い出す一方、特別支援学校で働くのは初めてですので、経験するすべてが私にとって勉強になっています。特別支援学校は教員の数が多いことが特徴の一つで、当校にも100人を超える教員が勤務しています。年齢層は幅広く、ベテランから若手まで大勢の教員からアドバイスをいただきながら過ごしています。支えていただいている実感は、とても心強いです。
 以前働いていた時と一番の違いは、私自身が親になったことです。働きながら子育てをしてきたことで、保護者の気持ちが我がことのようにわかるようになりました。私がそうであるように、保護者も日中の子供の様子が気になっているに違いありません。特別支援学校では毎日連絡帳で保護者とやり取りをしており、安心してくださいとの思いを込めて、できるだけ詳しく記入するように心掛けています。

正規職員との違いや働く環境について感じること

 特別支援学校での勤務は初めてですが、特に不安はなかったです。肩肘張らず、自然体で取り組めば大丈夫だと思いました。それでも、慣れるまでは時間講師として働くことを勧めていただき、2学期から正式に臨時的任用教員として勤務するようになりました。クラスの担任をすることになったのは、2年目からです。
 仕事の上では、正規教員との違いは特にありません。担任としての仕事以外にも、教務部として分掌の仕事も任されていますし、「学校だより」の発行など、学校全体の仕事も受け持っています。子供と接する際に体力が必要とされる場面も多く、低学年の男性担任は私1人であることから、周囲の先生方からは頼りにされていると感じることも多いです。

ライフ・ワーク・バランスについて

 私が低学年のクラスを受け持っているのは、次男がまだ小学生で、早く家に帰ってやりたいと考えたからです。その事情を副校長に伝えたところ、下校時間の早い低学年の担任を、と配慮していただきました。長男はもう中学生ですから心配は要らないのですが、次男はやはりまだ手がかかるので、こうしたお気遣いには感謝しています。妻は現在も引き続き働いているため、私が子供と一緒にいられる時間を持てることは、とてもありがたいです。おかげで充実したライフ・ワーク・バランスが実現できています。

臨時的任用教員を目指す方へのメッセージ

 民間企業を辞めて仕事探しをしていたときは、世の中の厳しさを痛感しました。人手不足が叫ばれている時代なのに中高年の求人案件は極端に少なく、あったとしても給与等がとても納得できるレベルにはなく、溜息をつきながらハローワークを後にしたものでした。ですから、教員募集のポスターを見たときは、「まさか」と驚いたほどでした。
 私と同様、民間企業で働いている方は、そもそも教員として再スタートできることを知らないと思います。想像すらできていないのではないでしょうか。ですからぜひ大勢の方に、何歳になっても教員として働き始めることができると知っていただけたらと思います。待遇面も民間企業と遜色なく、むしろ好条件だと感じています。

COLUMN
東京都の臨時的任用教員の魅力

 「子どもの看護休暇制度」には助かっています。急な発熱などで病院へ連れていく必要があるときも、この制度を利用すれば有給休暇を消化することなく、年5日まで休むことができます。私は、臨時的任用教員の勤務年数の関係から、正規教員より有給休暇の日数が少ないので、大変助かっています。もちろん周囲の先生方も「お互いさま」の精神を大切にされており、急な休暇も取りやすい雰囲気です。