
臨時的任用教員STORY 03高等学校
- 鈴木 風雅
- 都立つばさ総合高等学校
令和4年度任用
臨時的任用教員になる以前について
私は小学校の頃からサッカーを続けており、一時期は本気でプロのサッカー選手を目指していました。しかし大学4年生になっても声がかからなかったためにプロの道は断念し、別の形でサッカーやスポーツに携われたらと考えました。そこで教員採用試験を受けたのですが、一夜漬けの勉強では受かるわけもありません。改めてしっかりと受験勉強をした上で、再チャレンジをしようと決めました。
とはいえ、生活のためには働かなくてはなりませんから、教員採用試験に合格するまでと考えて、埼玉県の臨時的任用教員として働くことにしました。もちろん民間企業でもよかったのですが、教育実習で生徒と関わった経験が想像以上に楽しかったことから、教員の仕事を選びました。
臨時的任用教員に応募したきっかけは?
なぜ埼玉県の臨時的任用教員として働き始めたかというと、通っていた大学が埼玉県にあったからです。想定外だったのは、小学校で算数を教えることになった点でした。スポーツ科でトレーニング理論を学んできた私にとってはまるでなじみのない教科でしたから、大変さはひとしおでした。次第に、自分が本当にやりたかった体育の授業に携わりたい、できれば実家のある東京都で働きたいとの思いが強くなり、東京都の臨時的任用教員に応募し登録されました。
すると、つばさ総合高等学校から「サッカーの指導はできますか」との連絡をいただき、すぐに引き受けることを決めました。埼玉県の学校には事情を話し、1学期で退職することを認めていただきました。「頑張ってください」と快く送り出してくれた校長先生には、心から感謝しています。

実際に臨時的任用教員として働いて感じるやりがいは?
2学期からの勤務でしたので、うまく生徒たちとコミュニケーションが取れるか、先生たちの中に入っていけるかという点は、非常に不安でした。しかし、それは全くの杞憂に終わりました。ベテランの先生が「授業時間外のコミュニケーションを大切にするといいですよ」とアドバイスを送ってくださり、それに従って授業後に声かけをしていたら、本当にすぐに溶け込めたのです。副担任としてホームルームにも積極的に顔を出して、私のことを覚えてもらうようにもしました。
今までで一番感動したのは、初めて卒業生として送り出した生徒から進路指導の場で「先生のような教員になりたい」と言われたことです。保護者からも「先生が憧れの存在のようですよ」との言葉をいただきました。彼はサッカー部のキャプテンで、朝早くから練習に付き合ってあげたことが、心に響いたようです。生徒と一生懸命向き合ったことが、このような言葉につながったのでしょう。とても嬉しい一言でした。
正規職員との違いや働く環境について感じること
私は全学年の体育の授業を担当しているほか、サッカー部とイラストレーション部の顧問も務めています。日々の業務内容や勤務時間において、臨時的任用教員と正規教員の違いは感じません。副担任ですので、修学旅行の引率も行います。
教員採用試験に向けて勉強をしていると、周囲の先生方は小論文や体育の実技試験の練習を手伝ってくださいます。面接についても丁寧にアドバイスを送ってくださいます。皆さんに支えられていることを、いつもありがたく思っています。

ライフ・ワーク・バランスについて
臨時的任用教員も1年目から有給休暇が取得できることは知っていましたが、5日間の夏季休暇も取得できることは想定外でした。最初はなんだか得をした気分になったものでした。
夏季休暇と言っても私は採用試験の合格を目指す受験生でもありますので、勉強の時間に充てています。仮に民間企業でアルバイトをしていたら、こうした時間はなかなか取れなかったと考えられるので、働きながら正規教員の道を目指すには、臨時的任用教員はとてもよい仕事だと実感しています。
臨時的任用教員を目指す方へのメッセージ
教育の現場で生徒たちと触れ合いながら経験を積んでいける点は、臨時的任用教員ならではの魅力だと思います。将来、正規教員として働く上で、この経験はきっと役に立つはずです。ぜひ多くの方にこうした働き方を知っていただきたいと思います。
また、私は東京都で働きたいと希望して名簿登載をし、タイミングを見計らって自ら電話をかけて、募集状況を聞き出しました。受け身で連絡を待つだけでなく、積極的に情報収集することも、時には必要だと思います。そして希望にマッチする募集があれば、迷うことなくチャレンジすることをお勧めします。

COLUMN
東京都の臨時的任用教員の魅力
多様な学校種があることは、東京都の魅力の一つだと思います。私の勤務する総合高校は普通教育と専門教育の両方が履修できる点が特徴で、キャリア教育にも力を入れています。当校のような総合高校以外にも専門的な高等学校、特別支援学校など東京都には多様な学校がそろっており、それに合わせて多様な経験を積むことができる点は、素晴らしいと思います。