
非常勤講師、正規教員、
臨時的任用教員。
変わらないやりがいを感じながら
臨時的任用教員STORY 02小学校
- 山口 靑子
- 足立区立足立小学校(取材校)
令和6年度・臨時的任用教員任用
臨時的任用教員になる以前について
大学卒業後、金融関係の企業に就職し、人事部に所属していました。マナー研修をはじめとする企業人としての基礎教育をしっかり受け、電話応対や情報管理、来客対応など、社会人としてのスキルを身につけることができました。結婚を機に退職しましたが、この時の経験は今でも教員の現場で大いに役立っています。たとえば、保護者対応では丁寧な言葉遣いや対応力が求められますし、学校に来訪される地域の方や外部の指導員の方とお話をする時でも、その経験が生きていると日々感じています。
臨時的任用教員に応募したきっかけは?
もともと教育の勉強をやり始めたのは、自分の子育てに役に立つと思ったからです。出産を機に勉強をはじめて徐々にのめり込み、教員免許の取得を考えるようになりました。そして、教育実習で自分が教えた子供たちの反応を見た時、高校の教員をしていた父が常々語っていた「人を育てる仕事は素晴らしい」ということを実感したのです。「これが私のやりたいことだ」と確信しました。ただ、当時は自分の子供が小さかったので、もう少し落ち着いてから働き始めようと考えていました。しかし、その際に教育実習の指導教官から「あなたにはこの仕事が合っている。感覚を忘れないように、少しの時間でもいいから現場に一日も早く出た方が良い」とアドバイスをいただき、そう言ってもらえたことが嬉しく、講師登録をした翌月には非常勤講師として現場に立ちました。その後、産休代替の臨時的任用教員として教壇に立ち、その時の校長先生の後押しもあって正規教員へ。定年退職を迎えた後に再任用職員(フルタイム)を経て臨時的任用教員となりました。

実際に臨時的任用教員として働いて感じるやりがいは?
現在は特別支援教室で、コミュニケーション等において一部特別な指導を必要とする子供たちと向き合っています。指導を重ねる中で、子供たちが少しずつ自分の力で課題を乗り越え、自信をもち、笑顔を見せてくれる瞬間が何よりのやりがいです。そのために成功体験を積むことができることを特に意識しています。うまくいかなくても、振り返りを繰り返し、丁寧にできるまで寄り添い続けることが大切です。また、以前の教え子が「先生みたいな教師になりたい」と話してくれたり、卒業や成人の節目に訪ねて来てくれる子がいたり、困った時に相談に来てくれたり、そうした場面に出会うたびにこの仕事をしていて本当によかったと感じます。そして、何より日々子供たちから元気をもらえることが教員の醍醐味だと思います。
正規職員との違いや働く環境について感じること
正規教員も臨時的任用教員も経験していますが、どちらも責任感をもって変わらぬ姿勢で仕事に取り組んでいます。また、周囲の先生方も立場の違いを意識せず、自然に接してくださるため、「一緒に働く仲間」としての一体感を感じられる職場です。特に、私が受け持つ特別支援教室の児童を指導するには、その子が在籍するクラスの担任の先生たちとの連携が不可欠ですから、日々子供たちの様子を共有し合い、声をかけ合うことを大切にしています。「子供のこんな行動が気になります」「こんな支援はどうですか」など、何かとコミュニケーションを取ることが多いです。先生たちは私の意見を尊重しながら聞いてくださるし、先生たちから集団の中での子供の反応を聞くことができるため、一緒に関わっていくことがとても楽しいです。導入されているICT機器などは、得意な先生方に教えていただくのが一番ですね。講習会も数多く開催されているので、学びの機会も多いと思います。

ライフ・ワーク・バランスについて
勤務は週5日、8時から16時半までなので、平日の夜や休日には、保護司の活動や子供の権利条約の勉強会への参加、学校茶道、障害者スポーツ(フライングディスク)指導、東京マラソンでの障害者ランナーの伴走など、様々な活動に取り組んでいます。すべての活動がどこかでつながっており、どれも私にとって大切な学びの場です。例えば、子供の権利条約の勉強会での学びや全国の子供に関わる様々な立場の方たちとの意見交換は日々の教育活動に自信や豊かさを与えてくれます。茶道の所作を通して心を届けるということは、子供たちに伝えたい文化です。子供たちからもらった元気やパワーが、自分自身の生活の原動力になっていて、家庭も仕事も、趣味もすべて前向きに楽しめています。
臨時的任用教員を目指す方へのメッセージ
先生という仕事に興味があるなら、まずは現場に立ってみることをおすすめします。たとえ1年ごとの任用でも、その1年の中で得られる経験は計り知れません。特に学校という場所は、子供たちが人格を形成し、ぐんぐん成長していく特別な場で、日々の生活や行事のたびに変化する姿は感動の連続です。子供たちの笑顔や言葉に励まされ、自分自身も元気で楽しい気持ちになれる仕事です。教育に関わりたいという想いがあれば大丈夫。まずは一歩、踏み出してみてください。

COLUMN
東京都の臨時的任用教員の魅力
東京都で働く臨時的任用教員として特に魅力を感じるのは、充実した研修機会です。区単位や校内での研究活動はもちろん、夏休み中の研修や、ICT教育・発達支援に関する最新の講習など、多岐にわたる学びの場が設けられています。オンラインでの参加も可能になり、働きながら効率よくスキルアップできる環境も整いました。現場で活躍する他の先生方と事例を共有したり、専門家に相談できたりと、常に学び続けられる文化が根付いていることも強み。新しい知識をすぐに現場で試せることも、大きなやりがいです。